quantale's diary

日々の数学/物理等の読書記録

量子計算理論 量子コンピュータの原理  森前 智行 (著)

量子計算理論 量子コンピュータの原理  森前 智行 (著)

 

「第1章 はじめに」に前提知識についての記載があり、

『実は、量子計算の研究するには、学部レベルの線形代数と確率の基礎的な知識と、
 後は量子論や量子計算の独特な用語や慣習に対する慣れだけあれば十分。』

とのことです。

学部の物理全般くらいは必要かな、と漠然と思っていましたので、
ここの一文は大変驚きました。

 

確かに第1章~第3章はこれらのみで読めました。第4章は詳しくは、Nielsen-Chuangを見てね、とのことで、簡潔な量子ゲートの例のまとめが展開されます。

 

Nielsen-Chuangは結局、量子力学の入門から解きほぐしますので、量子コンピュータの入門としては上記引用の前提で良くても、途中からは「物理」そのものといいますか、「量子化」のプロセスの理解が必要になってくるように思いました。

 

それ以降の章は大変発展的な内容です。

 

今週、この分野について、ある先生の素晴らしい講演を聴きました。その質疑では『Nielsen-Chuangは学部生等で時間が無限大にあれば読んでね』とのことでした。というのも、Nielsen-Chuangは初版が2000年であり、その後の発展もあるため、現時点からいうと、新しいテキストが必要になるだろうとの見解です。

 

しかし、「新しいテキスト」をただ待っているわけにもいきません。

 

学生時代はNielsen-Chuangの分厚い本に圧倒されていましたが、今は翻訳本もオーム社から手軽に入手できますので、まったくもって『無限の時間』に縁のない社会人の私も、Nielsen-Chuangをざっと読んでおこうかなと思ってます。

 

量子計算理論 量子コンピュータの原理

量子計算理論 量子コンピュータの原理

  • 作者:森前 智行
  • 発売日: 2017/11/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)