数学のなかの物理学―幾何学的量子論へむかって 大森 英樹 (著)
大森先生の本は裳華房からも出ていますが、この本はそれとは違ったスタイルです。
数学者の夢見る物理学。
数学者は完成されたものを公開する傾向にあり、それはガウス以降の正当派の流れです。
しかし、物理についてそのままあてはめた場合、現在の量子力学ですら、成書が出ることはないと思います。
大森さんの考える量子論の記述について、ダイナミックに話が展開されていきます。
大学生にとっては課程のテキストのみで目いっぱいでしょうし、大学院生にとっては論文に直結しない本は避けるでしょう。しかし、自分の考えを持つ、自然理解を表現するという観点からはこうした本はいいお手本かと思います。
定期的に再読したい一冊です。